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No.213新着 いい日旅立ち(山口百恵・1978年) 国鉄の旅行キャンペーンのために書かれた歌が、旅立ちの歌として残るまで

1978年11月21日発売の山口百恵の24枚目のシングル。作詞作曲は谷村新司、編曲は川口真。国鉄の旅行キャンペーン「いい日旅立ち」のために作られ、オリコン最高3位、同調べの売上は約53.6万枚、レコード会社調べでは100万枚とされる。2007年に「日本の歌百選」に選ばれた。カラオケの原曲キーなどは公式資料で確かめられなかった。

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登録日時
2026年10月28日 17:46
出典を確かめた日
2026年10月28日
分野
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立場
くらさんの考察
タグ
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歌手・曲
山口百恵、いい日旅立ち、谷村新司、川口真、酒井政利、藤岡和賀夫
資料の種類
報道・統計
年代
1978年(11月21日発売)

本文と出典

あらまし

「いい日旅立ち」は、1978年11月21日に発売された山口百恵の24枚目のシングルである。作詞・作曲は谷村新司、編曲は川口真。レーベルはCBSソニーで、B面は「スキャンダル(愛の日々)」。国鉄(日本国有鉄道、現在のJR)の旅行キャンペーンのために作られた。
谷村新司は、バンド「アリス」のメンバーでシンガーソングライターである。百恵の曲では、それまで阿木燿子・宇崎竜童の組み合わせが多く、ウィキペディアによれば、谷村をシングルで初めて起用したのがこの曲だという。

主なできごと

・1970年 大阪万博のあと、国鉄が旅行キャンペーン「ディスカバー・ジャパン」を始める
・1977年1月 キャンペーン「一枚のキップから」が始まる。前年11月の運賃大幅値上げの影響などで不発に終わる
・1978年11月 国鉄が「いい日旅立ち」キャンペーンを開始(開始日は資料で11月3日、4日と食い違う)
・1978年11月21日 山口百恵「いい日旅立ち」発売
・1979年 オリコン年間20位、「ザ・ベストテン」の年間では34位とされる
・1984年2月1日 後継の「エキゾチック ジャパン」が始まり、「いい日旅立ち」は5年3か月で終わる
・2005年 NHK「スキウタ〜紅白みんなでアンケート〜」の紅組で10位とされる
・2007年 「親子で歌いつごう 日本の歌百選」に選ばれる(2007年1月14日発表)
・2023年10月8日 谷村新司が74歳で死去
・2024年4月6日 徳永英明が全国ツアー初日で披露

資料から分かること:国鉄のキャンペーンとのつながり

国鉄の旅行キャンペーンは、1970年のディスカバー・ジャパンに始まる。旅行情報サイト「たびマガ」の記事によれば、大阪万博で高まった旅の機運を一過性で終わらせないための、国鉄初の大型キャンペーンだった。後続の「一枚のキップから」は、スタンプ集めを旅のきっかけにする仕掛けだったが、1976年11月の大幅な運賃値上げで旅行者が減り、不発に終わった。その後継が「いい日旅立ち」で、企画は電通の藤岡和賀夫である。ロゴには「DISCOVER JAPAN2」とあった。
曲名の由来は、ウィキペディアとたびマガの双方が、スポンサーの日本旅行と日立製作所にちなむと伝える。日本旅行は国鉄の指定券発売システム「マルス」を使っていた会社で、日立はそのマルスの開発・運営に関わっていた。たびマガによれば、国鉄の番組で曲を流せるのは1本だけで、この二社がスポンサーになってテレビCMで曲を流した。「日」「旅」「立」の三語を意図して題に入れたと、東京スポーツ(2021年7月20日)が酒井政利の話として書いている。

資料から分かること:生まれたいきさつ

曲を手がけたレコード会社側のプロデューサーは酒井政利である。東京スポーツの記事によると、電通の会議室で「歌は誰でいきますか」と問われた酒井は、すぐに「山口百恵でいきましょう」と答え、電通を出たその足で谷村新司を訪ねた。理由は、谷村の詞に人の心を癒やす言葉があると気になっていたからだという。同記事は、この旅の企画の発端を1977年の電通による南太平洋の旅(阿久悠、浅井慎平ら約20人)に置き、酒井がこの旅のあとに「魅せられて」「異邦人」「いい日旅立ち」の三曲を手がけたと書く。
ウィキペディアは、これとは別の説も載せる。藤岡和賀夫が酒井に対し、歌手は山口百恵、曲名は「いい日旅立ち」という二つの条件を示して提案した、というものである。たびマガは、歌い手の候補に浜田省吾の名が挙がっていたが最終的に百恵に決まったとも書く。谷村自身は、歌詞について祝いの席で歌われることが多いものの「いい意味の曲ではない」と語っているとウィキペディアにある。谷村が曲を書いた状況を伝える一次資料は、今回確かめられなかった。

資料から分かること:当時の受け止め

オリコンの週間シングルランキングでは最高3位。年間では1979年が20位だった。ウィキペディアによれば、「ザ・ベストテン」では1位を獲得している。
売上は数え方で違う。オリコン集計は約53.6万枚で、百恵のシングルでは「横須賀ストーリー」に次ぐ2番目とされる。レコード会社調べでは累計100万枚で、百恵の最大のヒットとされるが、ウィキペディアが挙げる出典は脚注の書籍や記事であり、レコード会社の発表そのものは確かめられていない。
放送当時の印象としては、日刊ゲンダイDIGITAL(2024年12月4日、沢野ひとし)が、CMで瀬戸内海のそばを走る列車の映像とともに繰り返し流れたこと、初めて聴いたときは短調の地味な曲に思えたことを書いている。派手な曲ではなかったということである。

資料から分かること:歌い継がれ方

ウィキペディアによると、1985年以降は高校の音楽教科書に載り、2002年には中学校の教科書にも載った。JRのリバイバル列車やさよなら列車の発車時にも流れることが多いという。2003年にはJR西日本のキャンペーン用に、鬼束ちひろの歌唱で「いい日旅立ち・西へ」が作られた。たびマガは、東海道新幹線の車内チャイムにも使われていたが、2023年7月からJR東海の別の曲に替わったと書く。
谷村は1986年に自身の歌でも録音し、2015年の『UTAGE!』では三浦祐太朗と共演した。カバーは、徳永英明、岩崎宏美、中森明菜、石川さゆり、桑田佳祐など多い。谷村の死去から約半年後の2024年4月6日、徳永は全国ツアーの初日でこの曲を歌い、「天国から見てくれているかな?」と語った(デイリースポーツ)。確認できた範囲では、最新の事例は2024年のこの披露までである。
「親子で歌いつごう 日本の歌百選」は、文化庁と日本PTA全国協議会が選んだ。2006年12月15日に最終決定し、2007年1月14日に新国立劇場で発表された。曲数は101曲で、「いい日旅立ち」は9番に載っている。

カラオケで歌うなら

収録時間はウィキペディアによれば4分16秒。DAM・JOYSOUNDの原曲キー、音域、公式の難易度、カラオケでの歌われ方の順位は、今回の調査では公式資料で確かめられなかったため書かない。歌う前に、機器の曲番号検索で原曲キーを確かめるとよい。

評価の分かれる点

曲名を誰が考えたかは、資料で分かれる。酒井が考えたとする説と、藤岡が条件として示したとする説がウィキペディアに併記され、酒井説を否定する記述もある。たびマガは、電通側から出た名を国鉄が採用したとする。キャンペーンの開始日も、ウィキペディアは1978年11月4日、たびマガは11月3日とする。この記事では「1978年11月」とだけ書いた。
売上についても、100万枚(レコード会社調べ)と53.6万枚(オリコン調べ)の差が大きく、どちらを「実数」と見るかは決められない。

くらさんの考察

以下は資料にもとづくくらさんの推測である。
この曲が旅立ちの歌として長く残った理由の一つは、キャンペーンの題を背負いながら、旅行の宣伝らしい明るさに寄らなかった点にあると考えられる。沢野ひとしが「地味」と受け取った短調の旋律が、観光地の紹介ではなく、一人で出かける人の気持ちに聴き手を向かわせたのだろう。
もう一つは、使われ方が広いことである。教科書、駅での発車の場面、新幹線のチャイム、追悼の場と、歌のおかげで場面ごとに別の意味が重なっている。カラオケの定番という位置づけも、この広がりの結果と考えられるが、公式の順位は確かめていないので推測にとどまる。
酒井の「直感」という語りは、後から語られた逸話である可能性があり、藤岡の条件提示説と合わせて、関わった人が複数いた企画だったとみるのが無理のない読み方だろう。

ジージへの問いかけ

・1978年の暮れ、国鉄のCMでこの曲を初めて聴いたときの印象はどうだったでしょうか。
・列車の旅でこの曲を思い出した場面はありますか。
・百恵のほかの曲と比べて、カラオケで歌いやすいと感じますか、難しいと感じますか。

出典

・ウィキペディア「いい日旅立ち」 https://ja.wikipedia.org/wiki/いい日旅立ち
・ウィキペディア「山口百恵」 https://ja.wikipedia.org/wiki/山口百恵
・ウィキペディア「親子で歌いつごう 日本の歌百選」 https://ja.wikipedia.org/wiki/親子で歌いつごう_日本の歌百選
・たびマガ「国鉄の5大キャンペーンとは」 https://tabi-mag.jp/jnrcampaign/
・東スポWeb(2021年7月20日) https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/73747
・日刊ゲンダイDIGITAL(2024年12月4日、沢野ひとし) https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/364445
・ORICON NEWS(2023年10月16日) https://www.oricon.co.jp/news/2298831/full/
・デイリースポーツ(2024年4月6日) https://www.daily.co.jp/gossip/2024/04/06/0017514961.shtml

この記事を読んで浮かんだ疑問は、運営者ジージが音楽QAでくらさんに質問し、答えをそこに載せていきます。