No.6新着 1990年代の歌 ドラマ主題歌と小室サウンドがミリオンを量産し、通信カラオケが歌を広げた
1990年代は、CDシングルが100万枚売れることが珍しくなかった時代である。ドラマ主題歌が200万枚を超え、テレビにあまり出ないビーイング系、プロデューサー小室哲哉の「小室ファミリー」がヒットを続けた。日本のレコード・CDの生産金額は1998年に頂点に達する。同じころ通信カラオケとカラオケボックスが広がり、カラオケ参加人口は1995年度に最多になった。
本文と出典
あらまし
1990年代の初め、ヒットを生んだのはテレビドラマだった。1991年、フジテレビの月曜9時のドラマ『東京ラブストーリー』の主題歌「ラブ・ストーリーは突然に」(小田和正)は約270万枚、同じ年の『101回目のプロポーズ』の主題歌「SAY YES」(CHAGE and ASKA)はオリコンで282万枚と13週連続1位を記録した。ドラマやCMの曲として流れることを「タイアップ」と呼び、これが売り方の中心になる。
90年代前半はビーイングの歌手が、半ばからは小室哲哉が手がける歌手が、ヒットチャートを占めた。日本レコード協会の統計では、レコード・CDの生産金額は1998年の約6,075億円が最高で、ここから長い減少が始まる。カラオケでは1992年に電話回線で曲を送る通信カラオケが始まり、新曲がすぐ歌えるようになった。CDを買い、カラオケボックスで歌う、という流れが90年代の歌の暮らしだった。
主なできごと
・1990年 B.B.クィーンズ「おどるポンポコリン」がレコード大賞(この年から3年は部門別の表彰)
・1991年 小田和正「ラブ・ストーリーは突然に」、CHAGE and ASKA「SAY YES」。ZARD、WANDS、T-BOLANがデビュー
・1992年 通信カラオケが始まる(タイトー「X2000」、エクシング「JOYSOUND」)
・1993年 trfデビュー。ビーイング系の売上が業界の約7%に達したとされる
・1994年 第一興商が通信カラオケ「DAM」を発売。全国カラオケ事業者協会が設立。Mr.Children「innocent world」がレコード大賞
・1995年 カラオケ参加人口が5,850万人で最多に(全国カラオケ事業者協会のまとめ)。trf「Overnight Sensation」がレコード大賞
・1996年 4月15日付オリコンで小室哲哉の手がけた曲が上位5位を独占。安室奈美恵「Don't wanna cry」がレコード大賞
・1997年 安室奈美恵「CAN YOU CELEBRATE?」がレコード大賞。CDなどの生産枚数が最高に
・1998年 生産金額が最高に。オリコン年間で100万枚を超えたシングルが14作
・1999年 GLAY「Winter, again」がレコード大賞。エクシングの収録曲が2万曲に
ビーイング系と小室ファミリー
ビーイングは1978年に長戸大幸が作った会社で、B'z(1988年デビュー)、ZARD、WANDS、大黒摩季、T-BOLAN、DEEN らを送り出した。ブームの間も多くの歌手はテレビ出演を断り、ドラマやアニメの主題歌で曲を届けた。
小室哲哉はTM NETWORKの中心人物で、1993年のtrfを皮切りに、篠原涼子、安室奈美恵、globe、華原朋美らを手がけた。1994年ごろから99年ごろまでの「小室ブーム」で、1996年には彼の手がけた作品だけで1,500万枚以上が売れたとされる。レコード大賞も1995年から4年続けて小室作品が取った。97年ごろからは新しい歌手に押され、勢いは落ちていく。
ミリオンの時代
オリコンの1998年年間シングルを見ると、GLAY「誘惑」の約161万枚を先頭に、14作が100万枚を超えている。日本レコード協会の統計では、レコード・CD・テープの生産枚数は1997年の約4億8,000万枚、金額は1998年の約6,075億円がそれぞれ最高である。2025年の生産金額は約2,157億円で、1998年の約3分の1になった。
通信カラオケとカラオケボックス
それまでのカラオケは、レーザーディスクなどの円盤に入った曲しか歌えなかった。通信カラオケは曲のデータを回線で送るので、発売されたばかりの曲をすぐ歌える。1990年代半ばには各社が参入して通信カラオケの全盛期となり、1999年にはエクシングが2万曲を達成した。カラオケ参加人口は1995年度の5,850万人が最多で、2013年度には4,710万人に減った(産経新聞の報道を引く東洋経済オンラインによる)。
カラオケで歌うなら
JOYSOUNDが2022年に出した30周年ランキング(1992年10月〜2022年6月の集計)では、1990年代の欄の1位が安室奈美恵「CAN YOU CELEBRATE?」、2位がSPEED「White Love」、3位が華原朋美「I'm Proud」である(年代の区切り方はページに書かれていない)。DAMの2025年年間ランキングでは、シャ乱Q「シングルベッド」が20位、中西保志「最後の雨」が24位に入る。DAMの2025年「リバイバル平成ソング」では、1993年発売の広瀬香美「ロマンスの神様」が2位だった。
評価の分かれる点
売上枚数は、オリコンの推計と、日本レコード協会の出荷による認定とで基準が違う。「ラブ・ストーリーは突然に」はシングル「Oh! Yeah!」との両A面扱いで、どちらの曲の売上と見るかも書き手によって違う。
くらさんの考察
90年代は、歌を「買う」ことと「歌う」ことが最も強く結びついた時代と考えられる。通信カラオケで新曲がすぐ歌えるようになり、カラオケで歌うためにCDを買って覚える人が増えた。キーの高い女性ボーカルの曲がカラオケの定番になったのも、この時代の特徴と考えられる。ミリオンが続いた背景には、カラオケが歌の練習の場になっていたこともあるのだろう。
ジージへの問いかけ
・90年代、ジージのまわりでカラオケボックスに行くのは、どんな集まりのときでしたか。
・ドラマの主題歌で、今でも耳に残っている曲はありますか。
・CDが何百万枚も売れた時代と、今のように配信で聞く時代とでは、歌の覚え方が違うと思いますか。
出典
・ウィキペディア「ラブ・ストーリーは突然に」 https://ja.wikipedia.org/wiki/ラブ・ストーリーは突然に
・ウィキペディア「SAY YES (CHAGE&ASKAの曲)」 https://ja.wikipedia.org/wiki/SAY_YES_(CHAGE%26ASKAの曲)
・ウィキペディア「ビーイング」 https://ja.wikipedia.org/wiki/ビーイング
・ウィキペディア「小室哲哉」 https://ja.wikipedia.org/wiki/小室哲哉
・ウィキペディア「日本レコード大賞」 https://ja.wikipedia.org/wiki/日本レコード大賞
・ウィキペディア「ミリオンセラー」 https://ja.wikipedia.org/wiki/ミリオンセラー
・Wikipedia "List of best-selling singles in 1998 (Japan)" https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_best-selling_singles_in_1998_(Japan)
・日本レコード協会「音楽ソフト 種類別生産金額・数量の推移」 https://www.riaj.or.jp/g/data/annual/ms_n.html
・ウィキペディア「カラオケ」 https://ja.wikipedia.org/wiki/カラオケ
・全国カラオケ事業者協会「カラオケ歴史年表」 https://www.karaoke.or.jp/03nenpyo/
・東洋経済オンライン(カラオケ参加人口の記事) https://toyokeizai.net/articles/-/59071?display=b
・JOYSOUND公式「JOYSOUNDカラオケ 30周年ランキング」 https://www.joysound.com/web/s/30th/ranking
・カラオケDAM公式「2025年 DAMカラオケ年間ランキング」 https://www.clubdam.com/ranking/2025/
動画
・[MV] SAY YES / CHAGE and ASKA(CHAGE and ASKA Official Channel)https://www.youtube.com/watch?v=Q9qAyt0G-jM
・「負けないで」Music Video(zardofficial)https://www.youtube.com/watch?v=_4DJkOUU648
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