No.52新着 通信カラオケとカラオケボックス コンテナの個室と電話回線の曲配信が、歌う人を若者と女性に広げた
1985年ごろ、船や鉄道の貨物コンテナを改造したカラオケボックスが生まれ、カラオケは酒場の中年男性の遊びから、若者や家族の遊びに変わった。1992年には電話回線で曲を送る通信カラオケが登場し、JOYSOUND(1992年)とDAM(1994年)が業界を二分していく。採点機能は2000年代から細かくなり、点数を競う楽しみ方が広がった。
本文と出典
あらまし
1980年代の前半まで、カラオケはスナックや酒場に置かれ、中高年の男性が客の前で歌うものだった。1980年代半ばに、カラオケだけを目当てにした個室の店「カラオケボックス」が生まれ、仲間内だけで歌える場ができた。nippon.com の解説は、これによって利用者が若者や女性に広がったとしている。
もう一つの変化は曲の届け方である。それまではレーザーディスクなどの円盤を店がそろえる必要があり、新曲が入るまで時間がかかった。1992年に電話回線で曲のデータを送る通信カラオケが登場し、新曲がすぐ歌えるようになった。曲を楽譜のような小さなデータ(MIDI)で送るので、収録できる曲の数も一気に増えた。
主なできごと
・1985年 岡山県で船舶用のコンテナを使ったカラオケボックスが現れる(全国カラオケ事業者協会の年表)
・1988〜89年 カラオケボックスのブームが本格化する。個室であることが問題視されることもあった
・1992年 タイトーが通信カラオケ「X2000」を発売。同年10月、エクシングが「JOYSOUND」の初号機を出す
・1994年 第一興商が通信カラオケ「DAM」を発売。全国カラオケ事業者協会が設立される
・1995年ごろまで GIGA、BeMAX'S、日本ビクター「孫悟空」、セガ「セガカラ」、USEN「U-kara」などが参入
・1996年 3月までに DAM が業界の首位に立ち、以後首位を保つ
・1999年 第一興商が「カロリーカラオケ」を始める
・2003年 DAM が「精密採点」を載せた BB cyber DAM を出す
・2006〜07年 飲食などとの複合店が増え、「ひとりカラオケ」がはやる
・2010年 DAM の「LIVE DAM」と「精密採点DX」が出る
・2010年 エクシングがBMBを吸収合併し、業界は第一興商とエクシングの2社にほぼ絞られる
・2012年 JOYSOUND がBMBと統合した後の初の機種「JOYSOUND f1」を出す
・2019年 DAM が音声で操作できる「LIVE DAM Ai」と「精密採点Ai」を出す
・2023年 JOYSOUND が「JOYSOUND X1」(収録35.5万曲)を出す
・2025年 DAM が「LIVE DAM WAO!」を出す
カラオケボックスの始まり
最初のカラオケボックスがどこだったかには二つの記述がある。全国カラオケ事業者協会の年表は1985年の岡山県の船舶用コンテナの店を挙げ、ウィキペディア「カラオケボックス」も1985年に岡山市で開いた「イエローBOXカラオケ広場」を日本初とする。一方、ウィキペディア「カラオケ」は、兵庫県神戸市の港に残されたコンテナを改造したのが始まりとしている。いずれにしても、港で余った箱を個室に使ったという点は共通する。nippon.com によると、こうした「元祖カラオケボックス」は1曲100円で使えたという。
通信カラオケとJOYSOUND・DAM
JOYSOUND は、ブラザー工業系のソフト販売機「TAKERU」の開発者が、MIDIのデータが小さいことに目を付けて生まれたとされる。初期は電話回線で曲を店の機械に送っていた。DAM は第一興商が1994年に出した「DAM-6400」が最初で、1996年に業界の首位になった。nippon.com によると、カラオケ機器の事業者は1996年ごろ15社あったが、2004年に8社になり、今は第一興商(DAM)とエクシング(JOYSOUND)の2社に集約された。
曲数は通信になって大きく伸びた。協会の年表では、1999年にエクシングの収録曲が2万曲に達した。ウィキペディアによると、JOYSOUND の機種は2015年の「MAX」で25.5万曲、2023年の「X1」で35.5万曲を収める。
採点の進み方
点数を出す機械は、1980年に社交場で流行し、1982年には採点機付きのカラオケも出ていた。DAM は2003年に「精密採点」を入れ、2010年の「精密採点DX」、2019年の「精密採点Ai」と改めてきた。JOYSOUND にも「分析採点」の系統がある。2012年には採点をスマートフォンで楽しめるアプリも配信された。
店と参加人口の移り変わり
全国カラオケ事業者協会の「カラオケ白書」によると、カラオケボックスのルーム数は2018年度に130,200、2019年度に129,200だった。コロナの広がった2020年度は114,200に減り、白書は過去最大の減り方としている。2025年度は施設数9,227、ルーム数119,700まで戻った。くわしい数字の推移は id 54 にまとめる。
カラオケで歌うなら
通信カラオケでは、キー(音の高さ)や速さを機械のボタンで変えられる。精密採点では音程のほか、抑揚やビブラートなども点数に入る。点数を狙うなら、原曲のキーにこだわらず自分の声域に合わせるほうがよいとされる。
評価の分かれる点
カラオケボックスの1号店を岡山とするか神戸とするかは、資料によって違う。また、通信カラオケの「世界初」はタイトーの「X2000」とされるが、JOYSOUND も同じ1992年に出ており、どちらを始まりと見るかは立場による。
くらさんの考察
カラオケボックスと通信カラオケは、ほぼ同じ時期に重なって効いたと考えられる。個室ができても、歌える曲が古ければ若者は来ない。通信で新曲がすぐ入るようになって、1990年代のミリオンセラーの歌が、発売直後からボックスで歌われるようになった。歌謡曲の時代に「テレビで覚えて酒場で歌う」だった流れが、「ボックスで歌うために覚える」に変わったとも考えられる。
ジージへの問いかけ
・ジージは、スナックで人前で歌うのと、ボックスで仲間内だけで歌うのと、どちらが好みでしたか。
・採点の点数が出ると、歌う楽しみは増えると思いますか、それとも気になって減ると思いますか。
・カラオケの機械がほぼ2社だけになったことで、困ることはあると思いますか。
出典
・全国カラオケ事業者協会「カラオケ歴史年表」 https://www.karaoke.or.jp/03nenpyo/
・ウィキペディア「カラオケ」 https://ja.wikipedia.org/wiki/カラオケ
・ウィキペディア「カラオケボックス」 https://ja.wikipedia.org/wiki/カラオケボックス
・ウィキペディア「JOYSOUND」 https://ja.wikipedia.org/wiki/JOYSOUND
・ウィキペディア「DAM (カラオケ)」 https://ja.wikipedia.org/wiki/DAM_(カラオケ)
・nippon.com「世界的な娯楽となったカラオケの進化の歴史とポストコロナ」(2021年9月24日) https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g01173/
・全国カラオケ事業者協会「カラオケ白書2026」抜粋(1. カラオケ施設の推移) https://www.karaoke.or.jp/05hakusyo/2026/p1.php
・全国カラオケ事業者協会「カラオケ白書2021」抜粋(2020年度) https://www.karaoke.or.jp/05hakusyo/2021/p1.php
・全国カラオケ事業者協会「カラオケ白書2019」抜粋(2018年度) https://www.karaoke.or.jp/05hakusyo/2019/p1.php
・全国カラオケ事業者協会「カラオケ白書2020」抜粋(2019年度) https://www.karaoke.or.jp/05hakusyo/2020/p1.php
動画
・【JOYSOUNDの歴史】社長が熱弁!『カラオケ機種』過去10台以上の特徴を紹介!(JOYSOUNDエンタメch.)https://www.youtube.com/watch?v=lFbbSC7vfkk
関連動画
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